●上海にあるグラクソ・スミスクライン(GSK)の工場〔AFPBB News〕
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ロイター 2013年 07月 24日 14:53 JSThttp://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE96N05Q20130724
アングル:賄賂が病院経営の「生命線」、中国の医療制度に矛盾
中国の公立病院にとって賄賂は経営の潤滑油だ──。
[上海 24日 ロイター] -
中国の公立病院にとって賄賂は経営の潤滑油であり、こうした違法な支払いがなければ医療制度は機能不全に陥るだろう──。
病院関係者や業界専門家からはこんな声が聞こえてくる。
彼らの指摘によれば、医師や医療スタッフが手術の見返りを当てにしたり、製薬会社や医療機器業者からの裏金を期待する原因の一端は政府の政策にある。
中国では先週、英製薬大手グラクソ・スミスクラインが売り上げ拡大と価格つり上げのため、6年にわたって中国政府関係者や医師に対する贈賄を続けていたとされる疑惑が表面化した。
GSKは「恥ずべきことだ」とし、22日には中国を担当する複数の幹部が法律に違反していたようだと発表した。
製薬会社や医療機器メーカーにとって中国は魅力的な市場だ。
コンサルティング会社マッキンゼーによると、2011年に3570億ドルだった市場規模は、20120年までには約3倍の1兆ドルになると見込まれている。
病院をめぐる汚職は、医師の低賃金に起因するところが大きい。
給与体系は政府の職員と同じだが、業界専門家らによると公立の病院は資金繰りが厳しく、賃金は少ないのが通常だと言う。
北京で医学部を卒業したばかりの新米医師であれば、月収はボーナス込みで3000元(約5万円)と、タクシー運転手とほぼ同等だ。
民間病院の北京明徳医院によれば、10年の経験がある医師でも月給は1万元程度にとどまる。
米外交問題評議会シニア・フェローのヤンゾン・ファン氏は
「グレーゾーンの収入がなければ、医師らのモチベーションが低下するだろう」
と指摘した。
■<賄賂は「必要不可欠」>
過去30年にわたって、中国政府は同国の医療セクターを市場志向型に変えてきた。
言い換えれば、国内1万3500カ所の公立病院は自力で資金繰りをする必要があるということだ。
同国衛生省の統計によれば、2011年は公立病院の収入のうち医療サービスが50%強を占めていた。
約40%は薬の処方、残りは政府からの助成金などだが、政府による支援は1980年代以降、着実に減少している。
病院側は入院患者の治療費や、臨床検査の費用を決めることが可能だ。
しかし、国は誰でも手術が受けられるようにと、手術代を固定しているほか、薬にも「標準価格」を設定して実質的に上限価格を設定している。
国のこうした政策によって、病院側には、医師やスタッフの賃上げをする余裕はほとんど残されていない。
北京の有名病院で幹部を務めたこともある匿名の医師(50)は、収入の8割が賄賂によるものだったと打ち明ける。
賄賂がなければ月収は600ドルにも満たず、給料だけではやっていけない状態だったという。
衛生省からのコメントは得られておらず、薬価を設定している国家発展改革委員会もコメントは差し控えている。
■<赤い封筒>
公立病院では患者数が増加する一方、低賃金に嫌気が差す医師も多いため、新たな医師の確保がより難しい状況になっているという。
衛生省のデータによると、2008─11年の間に医師の数は13%増加したが、外来患者の数は28%増えている。
低賃金の問題は、患者から医師に賄賂を贈るという習慣にもつながっている。
こうした袖の下は、旧正月に贈り物として渡される現金の詰まった赤い封筒を指して、「紅包」と呼ばれている。
北京に住むビジネスマンのボブ・ワンさん(35)は、親類の手術を担当した主任外科医に5000元の「紅包」を渡した。
そうでもしなければ医師が真剣に手術をしないのではないかという不安がよぎったからだという。
習近平国家主席は汚職撲滅に向けたキャンペーンを展開しているが、その効果については懐疑的な見方もある。
北京の病院で勤務していた元医師は、汚職の撲滅はほぼ不可能だとさじを投げる。
「政府がその気になれば、賄賂を受け取った人物を特定するのは簡単だろうが、そうすれば全員が『クロ』になってしまう」
と皮肉交じりに語った。
(原文執筆:Kazunori Takada、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)
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ロイター 2013年 07月 24日 13:01 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE96N03H20130724
中国当局が薬品業界の不正捜査拡大、収賄側も処分
●7月23日、中国当局の薬品業界不正捜査が拡大。英・スウェーデン系アストラゼネカの現地社員2人が新たに聴取されたのに続き、米国人が身柄を拘束されたほか、製薬会社から賄賂を受け取った病院職員の処分も発表された。写真は先に関係者が身柄を拘束されたグラクソ・スミスクラインのビル。英ハンスロウで6月撮影(2013年 ロイター/Luke MacGregor)
[北京 23日 ロイター] -
中国当局の薬品業界不正捜査が拡大している。
英・スウェーデン系アストラゼネカの現地社員2人が新たに聴取されたのに続き、米国人が身柄を拘束された。
製薬会社から賄賂を受け取った病院職員の処分も発表した。
公安当局は、アストラゼネカの営業部門責任者に続き、上海事務所の社員2人からも話を聞いた。
衛生省は、製薬2社から賄賂を受け取ったとして、病院職員39人を処分すると発表した。
2社の名前は明らかになっていない。
身柄を拘束された米国人の名前などは分かっていない。
薬品業界の不正問題で身柄を拘束された外国人は、英グラクソ・スミスクライン関係の英国人コンサルタントに続き2人目。
米国大使館の報道官は
「米国人が上海で身柄を拘束されたことは認識している。
本人とコンタクトをとっており、適切な支援措置をとっている」
と述べた。
拘束された米国人が関係している企業名は明らかにしなかった。
一連の動きは、医療制度改革、それに伴う医療費負担増加を想定する中国政府が医薬品の高価格や業界の不正に厳しい姿勢で臨んでいることを示す。
中国に特化したリスク管理会社チャイナ・ビジネス・サービスのディレクター、ジェレミー・ゴードン氏は
「勢い付いている。
国際的な製薬大手は格好の見せしめになる。
他の業界への警鐘でもある」と語った。
関係筋によると、グラクソのウィッティ最高経営責任者(CEO)は、24日1100GMT(日本時間同日午後8時)の決算発表時に、贈賄問題への対応について説明する予定。
一方、アストラゼネカは、上海公安当局が23日に、すでに聴取された営業幹部に関連して2人の管理職に話を聞きたいと言ってきたとしている。
声明は「公安当局は、個人の問題と説明した。
他の調査に関連していると信じる根拠は当社にはない」としている。
■<医師を処分>
当局の矛先は、病院関係者など収賄側にも向いている。
新華社が報じた衛生省の声明によると、処分されるのは広東省の病院の職員39人。
2010年1月から2012年12月の間に、製薬2社から計282万元(46万0367ドル)の賄賂を受け取っていた。
「病院の労組の副委員長と、2社担当の2人が訴追され、賄賂を直接受け取った医師9人は解雇、停職、医師免許取り消しのいずれかの処分を受けた」
と新華社は伝えている。
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JB Press 2013.07.29(月) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38329
医薬品業界の巨大企業を相手取る中国政府
(2013年7月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
「鶏を殺して猿を驚かす」
というのは、大物を怖がらせて方針に従わせるために小物を厳しく取り締まる戦術を表す中国の有名な慣用句だ。
中国当局はグローバルな医薬品業界の巨大企業グラクソ・スミスクライン(GSK)を相手取って戦うことにし、真っ直ぐ猿に向かって行った。
中国で約5000人を雇用するこの英国医薬品大手は、自社の医薬品を処方する見返りに、医師に賄賂を渡したとされるスキャンダルに巻き込まれた。
■法律違反を認めたGSK
当局側の申し立てによると、多くの場合薄給の医師や病院、政府の役人たちに対する賄賂は、架空の、あるいは水増し請求された旅行や会議サービス費の名目で旅行代理店を介して流れたという。
中国当局は、GSKの4人の幹部を拘束し、同社の経理部長の出国を禁じた。
今回の不祥事に対処するために中国に派遣されたGSKの国際事業担当責任者のアッバス・フセイン氏は、自社の上級幹部が中国の法律に違反したようだと認める声明を出した。
GSKは、ビジネスのやり方を変え、その結果削減されたコストを医薬品価格の値下げという形で転嫁するとフセイン氏は述べた。
今回の出来事はGSKに限られたことではないかもしれない。
かつてサノフィやロシュ、ノバルティスといった欧州の医薬品メーカーはすべて、仲介役になったとされている旅行代理店の1つ、上海臨江国際旅行社を利用していた。
もっとも、これらの企業はこの旅行社との関係は停止していると話している。
警察は、アストラゼネカの従業員1人も短期間拘束し、同社の営業幹部2人に尋問した。
それとは別に、国家発展改革委員会(NDRC)は、GSKを含む医薬品会社の価格設定のあり方に関する調査を開始している。
■厳しい取り締まりの背景にある4つの理由
GSKの場合、内部告発が引き金になった可能性がある、今回の突然の厳しい取り締まりには相互に関係するいくつかの理由がある。
①.第1に、規制当局は、医薬品業界の枠を越えて力を誇示してきた。
独占禁止当局は最近、グレンコアによる鉱業大手エスクトラータの買収(650億ドル)に厳しい条件を付けた。
NDRCは1月、サムスンを含むアジアの液晶ディスプレーメーカー6社に対し、価格操作を行ったとして5700万ドルの制裁金を科した。
今年は、規制当局が調査を開始した後でネスレ―も粉ミルクの価格を20%引き下げた。
②.第2に、中国の政策立案者が輸出から国内消費に焦点を移しているため、彼らが、これから経済を牽引することになる消費者の保護に、より多くの注意を払うのは当然だ。
汚染された牛乳から豚の死骸で流れが止まった川に至るまで、繰り返し起きる不祥事が証明しているように、消費者はひどい仕打ちを受けてきた。
③.医薬品の場合、消費者に気を配るということは、価格を抑制することや汚職を撲滅することを意味する。
習近平国家主席が始めた広範な汚職撲滅キャンペーンに相応しい取り組みだ。
中国は既に年間600億ドル以上を処方薬に支出しており、米国、日本に次ぐ世界第3位の市場になっている(医薬品コンサルティング会社LEKの試算では、800億ドルに上る可能性もある)。
さらに、この市場は年間約17%のペースで成長しており、医療予算に大きな負担をかけている。
同時に、より多くの人にきちんとした医療を提供するつもりなら、コストを抑制すること――そしてブランド品でないジェネリック医薬品の利用を促すこと――が当局の義務になっている。
④.最後に、厳しい取り締まりには、大衆を喜ばせる、排外的な色合いもあるかもしれない。
消費者に対する犯罪の多くには国内企業がかかわっている。だが、反感の矢面に立ってきたのは、中国の消費者に対する「尊大な」扱いとされるものを最近謝罪せざるを得なくなったアップルのような企業だ。
多くの場合、規制当局は新たな法律を求めることはなく、単に法令集に昔から載っている法律を執行しているだけだ。
中国の医薬品業界での経験を持つある弁護士は
「医薬品業界の文化は、医薬品会社が既に境界線に近いところで活動していることを意味している。だが、今その境界線が引き直されている」
と言う。
■西側でさえ、「創造性に富む」売り込み
急成長し、これまできちんと規制されてこなかった中国の医療市場では、長い間怪しい慣行が、必須とは言わないまでも当たり前だった。
比較的規制の厳しい西側の市場でさえ、医薬品会社は、自社の医薬品の利用を勧めることに関しては、果てしなく創造性に富むことが証明されてきた。
例えば、医師や学者たちは日常的に、熱帯のビーチリゾートや面白いほど一流ゴルフ場に近い場所で開催される無味乾燥に聞こえるテーマ――「炎症性疾患における脂質の利用」のようなテーマ――に関するシンポジウムに招待される。
昨年はほかでもないGSKが、認可された用途以外で医薬品を積極的に売り込んだ容疑について米国で罪を認め、過去最高の30億ドルの罰金を支払った。
中国で活動するすべての多国籍企業は今後、規制への対処が難しくなったことに気付くだろう。
それが長期的に透明性の高い、ルールに基づく体制につながるのなら、このような変化が結果的に利益になる可能性はある。
だが、短期的には、新たに力を与えられた規制当局の注意を引くだけの不運な企業にとっては、状況が非常に居心地の悪いものになるだろう。
これは誰よりも医薬品会社について言えることだ。
By David Pilling
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【中国ってなんでそうなるの!】
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