2013年12月29日日曜日

スモッグで敵ミサイルの命中率が落ちるぞ!環球時報が奇文掲載

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●中国各地で深刻なスモッグが観測されている。上海市など華東地区を中心にAQI(空気質指数)は最悪の500を記録する都市も少なくない。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 0時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81049&type=0

大気汚染は国防に役立つ!
スモッグで敵ミサイルの命中率が落ちる!
環球時報が奇文掲載

 中国各地で深刻なスモッグが観測されている。
 上海市など華東地区を中心にAQI(空気質指数)は最悪の500を記録する都市も少なくない。
 なおAQIが計測限界の500を指した場合、中国ではドラゴンボール由来の単語「爆表」(スカウター爆発)が使われる。

 そんななか、中国を代表する「楽しい新聞」環球時報に大気汚染のメリットを説く奇文が掲載された。

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●.スモックが兵器に与える影響とは:偵察できずミサイルの精度も落ちる
環球時報、2013年12月9日

 先日来、中国の大部分の地域でスモッグが出現、注目を集めている。
 スモッグは健康や交通に悪影響を与えるばかりではなく、戦闘行動に影響を及ぼす。
 偵察関連装備の多くは効力を減じ、一部のミサイルは命中精度を落とす。
 空をメシのタネにしている航空兵にとってスモッグは大敵だ。
 だが戦場では、スモッグは防御側の軍事行動に有利に働く。
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 あまりのポジティブ・シンキングぶりが恐ろしい。
 この勢いで中国が防備を固めるといったいどうなってしまうというのだろうか…。

 なお記事はこの後、光学センサー、赤外線、レーダーなどなどの技術に与えるスモッグの影響について細かく考察している。
 「スモッグというはやりの時事ネタを軍事記事にも使ってみた」というお話なのだろうが、あまりに不謹慎すぎたためだろうか、現在は環球時報電子版から削除されているようだ。

■スモッグの恩恵

 もう一つ、大気汚染ポジティブ・シンキングをご紹介。
 CCTVニュースサイト翻訳編集者の王磊(ワン・レイ)さんのブログエントリー
 「スモッグがもたらした五つの意外な収穫」
だ。

(1).スモッグによって中国人はさらに団結した。
 北京だけではなく地方も大気汚染の攻撃にさらされ、全国人民は反スモッグ民族統一戦線を結成したのだ。

(2).スモッグは中国人をより平等にした。
 貧乏人も金持ちも平等にスモッグの脅威にされされている。

(3).スモッグは中国人に明晰な認識を与えた。
 中国経済の奇跡と讃えられ生活水準の向上に酔いしれていた中国人だが、その代償はきれいな空気だったことがはっきりと分かった。

(4).スモッグは中国人により多くのユーモアを与えた。
 スモッグ関連のジョークが次々と生み出されている。
 「世界で最も遠い距離:手をつないで街を歩いているのに君の顔が見えない」
 「待ち合わせ時間になっても彼女がやってこない。電話してみるとびっくり、なんとすぐ隣の椅子で着信音がなった」

(5).スモッグは中国人に知識を与えた。
 今や全中国国民がスモッグについて論じている。
 そのため気象、地理、物理、化学、歴史、ついでに英語の知識まで増えている。
 英語には「もや」を示す単語にHazeとSmogという2種類の単語があるなんてこれまで知っていただろうか?

 もしこれらがスモッグがもたらした恩恵だとするならば、その代価はあまりにも大きすぎる。
 とはいえ風が吹けばスモッグは消える。
 その風が汚染物だけを吹き飛ばすよう、
 スモッグが残した民族の団結、平等な社会、明晰な認識、ユーモアの精神、知識への熱意まで吹き飛ばすことがないよう願っている。
 これらのものが中国にしっかりと根をはって初めて、私たちは自信を持って環境問題やその他のチャレンジに向き合うことができるのだから。

 という内容。
 こちらはポジティブ・シンキングを装って中国の現状を批判する風刺と読むべきだろう。
 「北京の大気汚染がひどいらしいぜ、にやにや」的な地方ごとの団結心のなさなどを皮肉った文章というわけだ。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。