2013年6月10日月曜日

中国住宅事情:「買えない」から「借りられない」へ



●8日、中国で住宅価格が高騰し、低中所得層の多くは「家が買えない」と嘆き、賃貸を考え始めた。ところが今度は、家賃が高すぎる・賃貸が困難という厄介な問題が立ちはだかり、「買えないし、借りられない」という状況に変化しつつある。写真は北京のマンション。


レコードチャイナ 配信日時:2013年6月9日 21時46分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73134&type=0

中国住宅事情「買えない」から「借りられない」へ―中国紙

 2013年6月8日、中国の中・大都市で住宅価格が高騰し、低中所得層の多くは「家が買えない」と嘆き、賃貸を考え始めた。ところが今度は、家賃が高すぎる・賃貸が困難という、高騰する住宅価格に負けず劣らず厄介な問題が立ちはだかり、「買えないし、借りられない」という状況に変化しつつある。
 人民日報が伝えた。

 今年の大学卒業シーズンを迎え、北京・上海・広州など大都市の賃貸住宅の需要が爆発的に増加している。
 家賃がさらに引き上げられることはあるだろうか。
 所得や住宅価格と比べ、家賃には合理的な区間は存在するのだろうか。
 安定的な賃貸は困難だろうか。記者はこれらの問題について、調査を行った。

◆「住」が主な目標に

 100平方メートル余りの住宅を2人部屋や8人部屋の計6部屋に区分けし、約20人が常時入居している。
 ベッド1床の価格は月500-900元(約8000-1万4400円)。
 これは北京市朝陽区双井地区の某団地の典型的な集団賃貸の状況だ。
 ここで半年間生活している秦さんは、
 「この部屋は面積が狭く、トイレ・洗面所の数も充分でない。
 また、人の入れ替わりが激しく、安全が保障されていない。
 ここに入居してから半年余りが過ぎたが、まだ大家と正式な賃貸契約を結んでいない。
 それでもこの部屋は空になったことがなく、いつも人でごった返している。
 その理由は、ここの家賃が安いためだ。同じ団地内であれば、60平方メートルの1LDKの家賃は月5000元(約8万円)ほどだ。
 私の月収は5000-6000元だが、これほど高額の家賃は支払えず、ひとまず集団賃貸を選択するしかなかった」
と述べた。

 不動産大手・北京中原地産の市場研究部の張大偉(ジャン・ダーウェイ)氏は、
 「家賃が近年、急速に値上げされている。
 特に北京や上海といった都市では、2011年より年間値上げ率が約15%に達している。
 これは大きな上げ幅だ」
と語った。

 上がり続ける家賃に対して、多くの入居者は「耐えられない」と述べている。
 中・大都市において、入居者の多くは住宅を持たず、購入する資金も無く、現地での就業期間が短い低中所得層で、大学を卒業したばかりの新入社員や、他省からの出稼ぎ労働者などだ。
 賃貸は彼らにとって差し迫った需要であるが、彼らの多くの月収は、家賃支払後に衣食を何とか維持できるほどしか残らない。

 家賃はどれほどの金額が合理的だろうか。
 需要者、つまり入居者が最も重視しているのは、所得に占める家賃の比率だ。
 これは家賃支払の圧力を最も分かりやすく反映できる数値だ。
 調査によると、大都市の同比率はすでに40%に達している。
 つまり衣食住の「住」が、仕事に励む主な目的になっているというわけだ。

 2010年や2011年と比べ、2012年の北京市の前年比の家賃増加率はやや低下しているが、多くの低所得層および一般サラリーマンの入居者にとって、家賃値上げによる圧力は依然として深刻だ。

 中・大都市の住民の平均所得は年々増加しているが、15%以上の増加率には遠く及ばず、10%未満がほとんどだ。
 労働市場に進出したばかりの若者の初任給は、近年むしろ減少している。
 最新の調査によると、雇用情勢の深刻化により、2013年の大卒者が希望する初任給は2010年より半減した。
 ある人は、
 「北京・上海・広州は私たちの居場所ではないのだろう」
と悲観的な意見を述べた。

◆供給増による賃貸の安定化

 いかに賃貸市場の需給バランスを改善するべきか。
 これについては、供給の面から取り組む必要がある。
 供給の増加により、賃貸市場の需給バランスを改善し、家賃を安定化させることが可能だ。

 政府は近年、公租房(安価な公営賃貸住宅)の大規模建設に取り組んでおり、市場の安定した賃貸住宅源の増加を促し、バランスを改善するとされている。
 しかし多くの公租房がまだ竣工しておらず、また大都市の公租房は市街地から遠く入居者が少ないことから、その賃貸市場安定化の効果が出始めるのはまだ先のことになりそうだ。

 不動産大手・鏈家地産の市場研究部の張旭(ジャン・シュー)氏は、
 「市場で現在余っている住宅の活用は困難だ。
 家賃収益率の低下、住宅価格高騰を受け、市場独自の調節では賃貸住宅の増加を促せない。
 個人所得税や営業税の減免、さらには補助金の支給により、個人が使用していない住宅を賃貸に出すことを促し、余っている大量の住宅を活用するべきだ。
 公租房は建設を加速し、提供を急ぎ、規模効果を生み出すべきだ。
 また、公租房の周辺の交通・生活施設を充実化し、入居者の申請を促すと良いだろう」
と提案した。

 清華大学不動産市場研究センターの劉洪玉(リウ・ホンユー)主任は、
 「政府の建設する公租房、個人による貸出の他に、より多くの機関による貸出を奨励するべきだ」
と指摘した。

◆賃貸市場の規範化

 入居してから1-2カ月で家賃値上げを知らされる。
 このような出来事は多くの人の悩みの種になっている。
 賃貸は持続的なものであり、家賃の安定には賃貸市場のさらなる規範化が必要だ。

 北京市住房(住宅)・城郷建設委員会は不動産仲介業の規範化に向け、「北京市不動産仲介管理弁法の配布に関する通知」を発表し、意見を募集した。
 同管理弁法は、これまで家賃などの費用の代理集金・支払いを当事者から引き受けていた不動産仲介機関は、新たな代理集金・支払いの委託受付を停止し、家賃の支払い方法をすべて大家・入居者本人による集金・支払いに切り替えるよう提起した。
 この措置は現在よく見られる、不動産仲介業者が大家の代わりになるという現象を対象としたもので、大家・入居者双方の利益をより良く保護することを目的としている。

 劉主任は、
 「多くの国の経験を参考にできる。
 例えばドイツの賃貸契約管理の強化に関する経験は中国も参考にすることが可能だ。
 ドイツでは50%以上の市民が賃貸を一生の居住方法として選択している。
 これは整った法制度および監督管理システムが賃貸の安定性を確保しているからだ」
と述べた。

 劉主任は
 「厳格な法的手段、豊富なサービス手段が徹底化されれば、入居者の権益が保護される。
 入居者の賃貸の利便性が高まり、家賃が合理的になり、安全性が保障されるだろう」
と指摘した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF)



レコードチャイナ 配信日時:2013年6月11日 0時28分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73176&type=0

北京には約16万人の「蟻族」―中国メディア


●8日、社科文献出版社が出版した「中国青年発展報告2013」によると、北京市には約16万人の「蟻族」(大学卒業後も満足な職につけずに集団で住む若者)が暮らしているという事実が明らかとなった。写真は北京市の「蟻族」が多く住む地域。

 2013年6月8日、社科文献出版社が出版した「中国青年発展報告2013」によると、ざっと概算して北京には約16万人の「蟻族」(大学卒業後も満足な職につけずに集団で住む若者)が大学周辺や流動人口が集中して居住するエリアで暮らしているという事実が明らかとなった。
 こうした「蟻族」の平均月収は4133元(約6万6068円)で、居住面積が10平方メートル以下のものが7割近くを占める。
 京華時報が伝えた。

 調査結果では、「蟻族」の平均月収は4133元(約6万6068円)で、市全体の従業員月収平均4672元(約7万4684円・2011年度)を下回り、その差は539元(約8616円)となっている。

 また「蟻族」の居住環境は劣悪で、1人あたり居住面積が「10平方メートル以下」のものが67.8%を占め、平均面積は6.4平方メートル、平均賃貸料は518元(約8277円)となっている。

(提供/人民網日本語版・翻訳/YH・編集/武藤)





【中国ってなんでそうなるの!】




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